ぴょん(猫)②平成19年(2007年)~令和4年(2022年)

目次

病院の概念がわかる

 ぴょんは2度の病気、3度の入院をしました。ウンチとオシッコに関してです。それまで病院に行くこといえば、予防接種でした。初めてチャピと予防接種を受けに行ったとき、キャリーケージがひとつしかなかったので、彼には写真のカゴを使いました。病院に着いたら、好奇心旺盛な彼は
「ここはどこだ」
とばかりふたを開けようとします。

 顔をカゴから出したらビックリ。目の前に1mをゆうに超える大型犬がいたのです。
「なんだ、ここは」
とばかりに顔を引っ込めました。

 おとなしくなったなあと思い、ふたを開けるとかごの底にベターと張り付いています。小心者です。

 それ以来、キャリーケージに入れようとすると抵抗します。病院に連れて行かれるのがわかっているのです。あそこに行ったら、大きな犬はいるし、痛い注射は打たれし、何一ついいことはないと思っているのでしょう。

 そんな彼が二度の入院をしました。二度と言っても二度目ののオシッコのときは、病院を変えていますので3度入院したことになります。オシッコの病気のとき、最初の病院を退院しても具合がよくありませんでした。それで別の病院で診てもらおうとキャリーケージを彼の傍に持ってきたら、自分から進んでケージの中に入っていきました。賢い彼は病院の概念を理解していたようです。

 入院中も可愛がられていたようです。退院のときは看護師さんに抱っこされて
「おりこうさんでしたよ」
と言われ気持ちよさそうにしていました。

これで病院に行ったなあ
ここから来たなあ
気持ちいいにゃ

CIAOちゅ~る が大好き

 CIAOちゅ~るが大好きです。そのねだり方が可愛い。私が起きるころになると私の傍に来ています。当然貰えるものと思っており、余裕顔です。私もその期待に応えます。すると安心して再び眠りにつきます。

 ごちそうを続けてもらえるとは思っていないようです。妻からもらったあとは、妻には催促しません。私に催促します。続けて同じ人間からもらおうとする場合は、
「さっきもらったばかりだから、無理には言えないが、もらえるものならもらいたいなあ」
 そういう雰囲気を醸し出します。眼で、鳴き声で、態度で。ドライフードは常時用意していましたが、ときにないときは、
 「ごはんがないぞ。どういうことや」
 そんな眼を、態度をします。表情が豊かな子でした。

そんな失敗をするか

 2階の階段の手すりに乗ろうとして落下したことがあります。その場面を見ていたのでビックリ。すぐ1階に降りて怪我していないか確認しましたが、どうやら大丈夫でした。一応猫ですので。

 チャピを追いかけていて壁に激突したこともあります。サンルームへのガラス戸にぶつかるのならわかりますが、ガラス戸の横の壁に激突したんです。ぶち当たったあと、頭をブルンと振って顔をゆがめていました。
「イテー(痛い)」
 偶然妻と二人でその場面を見ていたのですが、その顔の表情が信じられなかったので、妻に「今の顔見たね」と確認したほどです。妻も信じられない表情で「見た」。

自分で段ボールを細工する

 器用にも自分で段ボールをかじって顔のせをつくりました。新しい段ボールあげるとその度に作っていました。

犬は苦手

 病院で遭遇した大きな犬だけでなくミニチュアダックスフンドでもダメでした。妻の友達がミニチュアダックスフンドを連れて遊びに来たときの態度が残念です。サンルームで対面しましたが、犬の目をじっと見続けて数ミリずつ後ずさりしていました。

ロックと呼ばないと出てこない

 CHAOとか美味しいものを上げようと「ぴょん」と呼んでも来ません。どこかに隠れたままです。そこで「ロック」と呼ぶと出てきます。うーん、謎です。なんで、ロックと声を出すと美味しいものが出てくると思うようになったかわかりません。ぴょんをないがしろにして、ロックだけに美味しいものをやったことなどないと思いますけど。何か彼なりに理由があるのでしょうがわかりません。

春の大冒険 家出  平成31年(2019年)4月14日(日)~21日(月)

 ぴょんが約1週間家出しました。どこに行ったのか、帰り道がわからなくなっているんじゃないかと心配しました。結局、隣(裏)の家の庭先にいたようです。勝手口に食事と水を置いていると、食事も水も減っているので、近くにいるようだとは、感じていました。家出してすぐは、そんな余裕もなかったので、近くのスーパーのハローデイの掲示板に迷子猫の張り紙を掲示してもらったり、保護猫の活動をされている方に情報提供をお願いしたりしました。

 隣の奥さんから「うちの軒下にいるよ」と教えてもらい、「楽しくて仕方がないとよ」とも言われました。無事、家に戻ってよかったのですが、1週間隣の庭先にいたのかと思うと、いかにもぴょんらしいエピソードです。

家出中
天使の瞳
サンルームでぽっかぽっか

いろんなエピソード

 ぴょんが床でくつろいでいると、ロックが走ってきてぴょんの頭をポカリと打って走り去っていきました。ぴょんは起き上がりテーブルの上に避難しました。その時のポーズは、足を少し広げ丸い足先は少し外を向いています。その後ろ姿にぴょんの気持ちがにじみ出ていました。まさに「なんば、すっか」と、憤っているのがわかりました。

 私が芝刈り機で庭の芝を刈ったあとのこと。芝刈り機を母の部屋に入れたところ、ぴょんが芝刈り機に乗ってハンドルに前足をのせ立っています。「たしか、こんな感じだったなあ」と言わんばかり。

 台所に、妻が作ってくれた私の弁当を置いていました。それをぴょんが食べています。少し大きな声で叫びました。「コラッ、ぴょん」。ぴょんがこちらを振り向いて、「今、食事中ぞ。びっくりさせるな」と言いたげ。そう言っているのがわかるのです。そして、そのまま当たり前のように食べ続けました。

 勝手口の前にコメ10㎏を置いていました。外出から戻ると米袋を破って白米の上にぴょんが悠々と寝そべっていました。怒る気にもなれません。

 2階の洗面台の排水溝が詰まったのを義父が直していました。それをぴょんが「何してるの。どうなってるの」とばかり必死にのぞき込みます。義父が「見たっちゃ分からんどが」。何にでも興味津々な猫でした。

 よくないことですが、かまぼこや竹輪をあげていた時期がありました。買い物から帰ると、ぴょんが寄ってきて食材を冷蔵庫に入れるのを一つ一つ顔を動かし見るのです。入れ終わると冷蔵庫に前足を添えて背を反らせます。そして「ぼくのごちそうはここにあるよ~」と言いたげ。かまぼこや竹輪をあげなくなったら、そういう行動をしなくなりました。

 2階にいるぴょんを1階で「ぴょーん」と呼びました。階段を走って降りて来ていましたが、チャピが1階から2階に走って上がっています。交差したぴょんはチャピの後について、つられて2階へとUターンしました。階段の折り返し点でしたので、ぴょんは見えなくなります。その後、すぐ戻って降りてきました。「おっとっとっと、違った、違った」と言いたげ。

 ぴょんの姿が見えなかったので、「ぴょーん」と呼びました。どこらから現れましたが、その時の顔が全く眠たそうな顔です。「何の用事や、俺がおらんといかんとや」と言いたげ。

 サンルームにいると、暑くなるのでしょう。リビングに入ってきて2,3歩のところでいつもドテッと倒れ込みます。

 外を眺めるのがすきでした。2階の私の窓に肘を乗せて座っていました。まるで列車に肘掛けて外を眺める人間そのものでした。
 近所の老犬が散歩しています。もう散歩するのがつらいのでしょう。嫌々歩いているのがなんとなく分かります。それを見ながら「お前も大変だなあ。ぼくは散歩しなくてもいいから良かった」と言いたげ。
 趣味がありました。「バードウォッチング」です。特に春先は珍しい鳥が庭先にきていましたので、それを飽きずにずっと見ていました。最近は、住宅が建ち並び水田や畑がずいぶんと減りましたので鳥も少なくなりました。

 ちゅ~るが好きです。ただ、食べるのが遅い。ゆっくり味わって食べています。一口なめたら顔を上げ満足そうな顔をしています。早く食べ終わったチョロから横取りされます。それを怒ることもなくじっと見ています。そして、私の顔を見つめます。「チョロが食べたから、おかわりください」と言いたげ。のんきな性格です。

 トイレの砂かけが雑。チョッ、チョッとかけて終わり。

 ウンチをお尻にぶら下げて歩くのもたびたび。

 畳の部屋でチャピとぴょんが暴れていて叱ったことが。「チャピ、何しよると」。チャピは立ちすくんでいましたが、数秒後に、隠れていたぴょんが頭を傾けてサササササッと横切って行きました。 

 玄関のチャイムが鳴ると玄関に行きます。他の猫たちと違うところです。「誰が来たのかなあ」という感じです。「お風呂が沸きました」の自動音声にも反応します。「う~ん、誰かいたのかなあ」と風呂場まで歩いていきます。

 義母が我が家に来てトイレに行ったら、トイレの前で待っています。そして、「帰りははこっちだよ」と言わんばかりに道案内をします。後ろを振り向きながら、義母の目を見ながら。この後ろを振り向き目を合わせながら誘導する動作は、食事の場所に連れて行くときと同じです。

 チャピが外出することが時々ありました。そうするとぴょんは一生懸命サンルームからチャピを探します。チャピが家の裏に移動すると一目散で勝手口に行きチャピの行動を追います。チャピが無事家に戻ってくるとガシッと抱擁です。うーん。

 本当にいろんなことをして、いろんな表情をして、私たちを喜ばしてくれました。

最期 令和4年(2022年)1月5日

 彼の最期は突然やってきました。
 令和4年(2022年)1月5日、目を覚ましましたが、ぴょんの姿が見えません。いつもはちゅ~るを食べるために私が起きるころには、私のそばにいるのです。1階のリビングに降りると、ソファーにぴょんが横たわっています。何か雰囲気がいつもと違います。抱きかかえても元気がありません。

 8時10分、動物病院に向かいました。8時40分、動物病院に到着。整理札を取ると8番目。車中、鳴くことがありませんでした。普段なら、「ナーン、ナーン」と鳴くのに。不安です。コロナ禍ですので、駐車場で待機していましたが、その間も鳴きません。嘔吐するのがわかりました。ものすごく不安になりました。順番はまだきていませんが、ぴょんだけでも病院の中で待機させてあげようと思い、お願いすると、了承していただきました。

 9時35分、呼び出しベルが鳴りました。「思ったより早いな」と思い室内に入ると、看護師さんが
「もう亡くなっています」

驚いて
「嘘でしょう。今朝、具合が悪くなったばかりですよ」
 

 信じられませんでした。夕べは元気でした。
 朝、家を出るときは、点滴でも打てば差し当たって大丈夫かなぐらいの気持ちだったのです。それが、車中~病院の駐車場と、時が経つごとに不安がつのり、先生に診てもらうこともなく逝ってしまうとは。
 もう、動かないなんて信じられませんでした。もう、この世にいないなんて本当に信じられませんでした。妻に何と言えばいいのだろう。しばらく、あてもなく車を走らせました。

 想えば、この15年、ぴょん中心の我が家でした。妻と阿蘇にドライブに行っても、ぴょんのことばかり話し、天草にドライブに行っても、ぴょんのことばかり話していました。
「早く帰ってぴょんのばか面をみようかね」

 家に帰ると私たちの想いを裏切ることなく、ぴょんが玄関まで迎えにきてくれます。「ナーン、ナーン」、私の足下から離れません。ちゅ~るをもらうまでは離れません。

 あのぴょんが、もうこの世にいないなんてまだ信じられません。
 最近、本気で想います。


「あの世でまた一緒に暮らしたい」
 

 

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